ひょんなことから女性自衛官となった無気力な現代っ娘が、教育隊の訓練を通じて成長していく様を描く青春映画の佳作。見終わって思ったのは、何故もっとヒットしなかったのだろう?ということ。
おちこぼれの主人公たちが、あることをきっかけに目覚めて一般的には突飛だったりバカげていたりするようなことに一生懸命取り組む。そして何かをつかんで人間として大きくなる。これは青春映画の定石。ともかく20年くらい生きてきて、”オレって今まで何一つ成し遂げたことがないよな~”と思ったことがある、主人公と同年代の男のコ女のコは特に観て欲しい。この映画はきっと勇気をくれることだろう。それに世間が知らない自衛隊の様子も描かれるし、ヒットにつながる要素はあるのにな。
自衛官に個性がないから、と集められた3班は元レディースはいる、元女子プロレスラーいる、ミリタリーおたくはいる、とおかしな連中ばかり。特に"アスカ・ラングレー"ことみやむーの浮いた演技には、アニメファンだけでなく注目。
冒頭の爆弾処理から始まって募集事務所の方とのやりとり、煙缶(エンカン)や独特な時刻の読み方などの自衛隊用語、そして教育隊での生活の様子など、一般ピープルには興味深い部分もたくさん描かれている。「合格ですよ!」って募集官が自宅に行って家族に「聞いてません」と言われる光景なんて、実際ありそうで面白い。菅野チャンが夜ベッドでポケットボード(携帯に有線で繋ぐキーボード。若いコは知らないよね?)出してメールしてたりして、あぁ携帯は取りあげられないのか、とか妙なところで感心したり。
一方で厳しい現実も忘れてはいないところは好感がもてる。土砂災害の現場に偶然遭遇してしまった主人公たちに、「なんだよ、女の自衛官ばっかり来やがって!」とか言われたり。好きだったのは、「G.I.ジェーン」並みに女捨ててんじゃない?と思われていた班長が、ふとオンナの表情を見せるクライマックス。