キツネとタユタム

ワインは期待と現実の味のキツネとタユタムのレビュー・感想・評価

ワインは期待と現実の味(2020年製作の映画)
4.1
最難関資格であるマスター・ソムリエになりたい若者が、家族との問題に向き合いながら、試験に挑戦していく話。

まず原題が「uncorked」で「コルクの栓を抜いた」という凄いオシャレな題名だったのにどうしてこんな邦題になったのか不思議でならない。そのままで良いじゃないですか。

好きなことや人生に、真剣に向き合うことの大切さを教えてくれる作品。
何事も中途半端で移り気が激しい主人公が、心の底から熱中できるものを見つけ、それに向かって真剣に取り組む姿がとても良い。
半ば諦めかけていたことに、再度挑戦してみようという勇気を与えてくれる。人生に迷ったときに観ると気持ちを奮い立たせてくれるかもしれない。

マスター・ソムリエという、世界でも250人ほどしかいない資格に挑むだけでも大変なことなのに、主人公にはたくさんの障壁が降りかかる。
父親からは反対され、応援してくれる母親はガンを患っている。勉強を続けていくためのお金の問題もあり、並大抵の精神では乗り越えられない。
そんな中、悩みながらも自分の進むべき道を決め、どの問題にも真正面から立ち向かおうとする姿には心を打たれる。

Netfrixオリジナルで興味をそそらない邦題だからと思って舐めてかかってはいけない。
ワインという世界の面白さを伝えてくれることに加え、しっかりと人生を考えさせるストーリーがそこに乗っかるため、割と隙が無い作りになっている。
特に父と息子の微妙な関係性を丁寧に描いているところが素晴らしい。
「何か転機となる会話シーンひとつで仲直り!」みたいな軽い展開にはせず、すれ違う会話でも何回も繰り返すことにより、徐々に心を近づけていく。そんな心情の変化がとても上手に描かれている。

一度きりの人生。どうやって生きるのが後悔しない生き方なのか。そんな難しい議題のヒントをくれる作品のように思える。
ほんと邦題どうにかなりませんかね…ディスカバリーチャンネルの動画じゃないんだから…
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