rage30

辻占恋慕のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

辻占恋慕(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

売れないミュージシャンとマネージャーの話。

主人公はSSWの女性という事で、まずはSSWの世界が興味深かったです。
ライブをやっても、お客さんの大半はアイドル目当ての中年男性で、純粋に音楽を求めて来る人はほとんどいないという現実。
終いには主人公もアイドルと同じ対応を求められる始末で、一時期流行った「SSWおじさん」を思い出したりもしました。

そんな厳しい状況に加え、30歳を迎えた事で夢と現実の瀬戸際に立たされる主人公と、彼女のマネージャーとなった元バンドマンの男。
正直言って、かなり世知辛い話ではあるのですが、中盤以降は二人のチグハグなプロモーション活動が描かれるので、この辺は普通にコメディーとして楽しめました。
二人の会話も面白いし、主人公の世間に迎合しない性格も面白かったな~。

しかし、二人の試行錯誤も上手くは行かず、最終的にマネージャーはライブをブチ壊す暴挙に出ます。
ここでのマネージャーの逆ギレっぷりが、とにかく強烈で痛快。
SSWおじさんに感じる違和感を言語化し罵倒しまくるので、異様なカタルシスがありましたね。
まぁ、流石に見た目をディスるのはどうかと思いますが、それくらいの暴言を吐かないと踏ん切りがつかなかったのだろうし、最後の「死ね!」はお客さんというよりも自分に向けて言ってたのかもしれません。

全体を通じて悲哀があり、見ているのが辛くなる部分もあったのですが、ラストの逆ギレシーンだけでも見た価値があったなと思ったし、何か表現活動をしている人なら、より響くところがあるのではないでしょうか。
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