ゴリアテの憂鬱

リトル・ガールのゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
4.1
先日、男の子として生きたい少女を描いた映画『トム・ボーイ』を観たところだったので、女の子になりたい男の子を描いたドキュメンタリーである本作を鑑賞。

自分にも小さな子供(男の子)がいるのですが、自分の息子に本作のサシャと同じように「女の子になりたい」と言われたら、戸惑ってしまうし、やはり少しショックに感じてしまうと思います。
それは、その望みを否定するからではなく、その希望通りに生きられるようにしてあげようとしても、学校や友達関係など息子を取り巻いている環境での影響を心配してしまうからです。

自分も親になってわかったのですが、自分の子供に願うことは将来大成してほしいとかではなく、なるべく平穏に倹しくとも幸せな人生を歩んでほしいということです。

サシャに寄り添いながらも心配そうにしている両親も、おそらくは同じような気持ちなんだろうなと思いました。
僕なんかより全然頼りになる両親でしたけどね。

最近発表された新譜で、Oliver Sim(the xx)の〝Fruit〟という曲があります。
オリバー自身も見た目は男性ですが、バイセクシャルを公言しています。
この曲は幼少期のオリバー自身に向けて書かれたもので、クィアのアイデンティティと自己受容を讃えた内容なのですが、本作を観てからまたその歌詞をなぞるととても切ない気持ちになります。

美しく輝くサシャに明るい未来があることを願っていますし、自分自身も社会における一人として、性的少数者の方に対しても失礼のない対応ができるように普段から心掛けて生きていきたいです。