いちごあんこ

リトル・ガールのいちごあんこのレビュー・感想・評価

リトル・ガール(2020年製作の映画)
3.8
体は男の子、心は女の子のサシャの生きづらさや苦悩をありのままに映したドキュメンタリー。
(実話を元に撮影したものかと思ったら
登場人物も本人でした)

サシャは2歳のときから自分は女の子だと言っていた。
母はサシャの言うことを受け入れて愛情を注いで育てていたが
学校やバレエ教室で先生が性別違和に対する理解をしてくれないことで悩んだ。
サシャの母は、学校にありのままのサシャを受け入れてもらうために闘った。
その闘いはなかなか厳しいものだった。
学校の先生が理解のない人な上に、話し合いの場を設けようとしても校長は取り合ってすらくれなかった。
これが教育の場のリアルなのかと憤りを覚える。
最後にはやっとの思いで校長を納得させることが叶い、サシャが好きな女の子らしい服を着て学校に行くことができた。

長男の一言
「黙ってたら何も変わらない」

登場人物の小児精神科医の先生は、反発してくる人は何言っても理解できないと言った。
悲しい事実だなと思った。
そういう人は身近にセクシャルマイノリティの人がいない(というか気付けるほど視野が広くない)のだろう。
実際は左利きの人と同じくらいの割合でいる。ごく普通にいる。
もし理解のない人だとしても、親友からセクシャルマイノリティだと打ち明けられたらきっとその人自身のありのままを受け入れるだろう?
それはサシャの友人のローラがそうだったように。
セクシャルマイノリティの問題だけではない、あらゆる場面で自分が正しいと信じ切るべきではない。
“マイノリティ側を認めろ”という言い方だと脅迫じみたセリフに聞こえて反発する人もいるのかもしれないが、
“ただ無意識のうちに他人を傷つけている可能性があるということに自分で気づけるかどうか”だけの問題なのだと思う。