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キャンディマンのレクのレビュー・感想・評価

キャンディマン(2021年製作の映画)
4.0
本作『キャンディマン』は過去作1992年公開の『キャンディマン』と同じ題材を使いつつ、続編的な構成で再度映画化。
そこに、脚本・製作ジョーダン・ピールの作家性、主に繰り返される歴史や継承されてしまう差別意識を組み込み、新たな『キャンディマン』として作り上げられています。
一方でオリジナルを観てなくても楽しめる親切設計ながら、オリジナルを観ているとまた別のテーマも浮かび上がってきます。

つまり、過去の作品を良い意味で自分色に変えた脚本力や演出力で魅せるリブート、続編的な位置づけ。
例えば
ダリオ・アルジェント監督作品『サスペリア』(1977)から大きく世界観を変えて"ドイツの秋"など歴史的な要素を練り込み、再構築したルカ・グァダニーノ監督作品『サスペリア』(2018)。
ジョン・カーペンター監督作品『ハロウィン』(1978)からスリラー要素を残しつつアクションエンタメへと振り切り、後日譚として作り直したデヴィッド・ゴードン・グリーン監督作品『ハロウィン』(2018)。
これらの毛色と近いと思います。


脚本・製作に携わってるジョーダン・ピールとの相性が抜群。
差別意識とスリラー要素を組み合わせて創作を通して現実世界に表現する作家性。
特に影絵や鏡を使った演出は安全圏から俯瞰的に見ている我々観客と黒人差別の連鎖をリンクさせ、過去を現代に蘇らせる解釈の余地がない暴力的芸術がそのメッセージ性に付加価値をつけている。

本作でも効果的に使われたギミック、鏡。
鏡像の対称性と写し鏡の自己投影、そして至る所で黒人の歴史、格差社会を匂わせる。
これはジョーダン・ピール監督過去作『アス』との共通点。
また、人種差別への先入観、潜在的差別意識は『ゲット・アウト』にも通ずるメッセージ。
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