ViceやThe Big Short(マネーショート)の監督・脚本を務めたAdam McKayの最新作。
ある小惑星を発見し、且つそれが数日後にほぼ確実に地球に衝突し人類滅亡をもたらすものであると知った二人の天文学者が、世に警告を発するために奮闘しつつも様々な苦難に遭うダークコメディ。
何よりキャストが豪華過ぎるのと、予告編も凝った感じで気になっていました。
率直な感想としては、Leonardo DiCaprioの冴えない中年男像が意外とハマっていたりJonah Hillのアドリブも利いていたりと個々のクオリティは高いのですが、全体としてはとにかく忙しい....。
人類滅亡を人類が直接引き起こすという社会風刺的な発想が斬新なだけに、色々盛りだくさん過ぎてメッセージがぼやけてしまっているのがもったいないなと思いました。
また大統領とchief of staffのnepotismやショービジネス感からはトランプ政権に対するハリウッドのリベラル寄りの批判が多分に感じられ、少し偏っている印象を受けました。
"Don't Look Up"がスローガンになってしまうのは確かに想像できますが、自称wokeな人たちの欠点ももっと入れられるとよりバランス感があったかもしれません。
そもそも人類滅亡という世界的危機が米国中心に完結しているのも少し違和感があり、もっとグローバルな要素を入れるべきではと突っ込みたくなりますが、本作品は米国の社会風刺を主眼としており、人類滅亡はあくまでその媒介に過ぎないため、それを承知で観る必要があります。
期待値が高かっただけに個人的には少し残念で、less is more精神でもう少しやりようがあったんじゃないかと思いましたが、物語の発想としては面白く、次作に期待したいと思います。