RIKAねこ

ドント・ルック・アップのRIKAねこのネタバレレビュー・内容・結末

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

Netflixで何気なく視聴。

昔見た『タイタニック』では
沈みゆく船と共に
死んでいったディカプリオでしたが、
『ドントルックアップ』でも
破滅する地球号とともに死んでしまうという、
ディカプリオは結局助からないんかーい、というそれはさておき。


面白い映画でした。
国や社会に対しての、なんとも言えない残念感、期待を裏ぎられる感、民衆の愚かさ、歯痒さが、ブラックなコメディとして風刺されて痛快でした。

権力を持った者、富を得た者、メディアを操れる者、専門家と呼ばれる者、政治家…国のトップにいる彼らが【科学的で正しい情報を得ている】にも関わらず、人類にとっての正解を出さないのは、なんとも言えない絶望感を味わいましたし、
コロナ禍ではなおさら政府をそう言う目で見てしまうよね、って思いました。


また、
彗星は衝突しない→そう思う、のコメントさえ多ければ安心してそれを事実と思い込む人たちがいる。
科学的根拠や専門家の意見に耳を貸さず、
【ワイドショー的な雰囲気】に流されていく
民意なんてものは多数決の結果にすぎないのに、なぜか意見が多ければそれが事実であり正義であり正解であるかのように印象づくのも、まさに今の世の中のネットのコメントのようです。

政府は彗星の軌道をずらそうとして、ロケットに核弾頭を積み、生け贄(と言う名のヒーロー)を一人乗せて打ち上げたものの失敗。

政府主導のロケットは全然ダメじゃん…ってところに、大金持ちの実業家が現れて「我が社の技術なら犠牲になる宇宙飛行士不要で、ドローン飛ばして彗星を爆破出来まっせ」と名乗り出るあたりも、なんかとてもリアリティあるなぁと思いました。

いずれにしても失敗で、
人知を超えた宇宙の災害には勝てず、彗星は科学者が計算した通りの軌道と時刻で地球に衝突し、残念ながら人々は死に絶えます。
わりと救いのない結末ではあるのですが、彗星が衝突しようがしまいが、いずれ人は死ぬわけで、死のタイミングがたまたま予期出来ただけで…結局【死生観】や【今を生きる】ことを改めて問われたような気がします。

で、人類滅亡かと思いきや、
一部の人間(大統領、政治家、大富豪たち2000人)はちゃっかり宇宙船を用意し地球を脱出、冷凍スリープで2万年ほど宇宙を彷徨ったのち、別の惑星にたどり着くというオチがまた、微妙にムカつくんだけど結局生き残っていく人間というのは(今生きている我々も含め)ずる賢くて自分の利益ばっかり考えていた個体の子孫だ、ということでしょう。


おっさんになったディカプリオの情けなさ具合もいい感じにエロくて良かったです。
退屈なシーンがなく、楽しめる映画でした!
RIKAねこ

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