きゅうげん

YUMMY ヤミーのきゅうげんのレビュー・感想・評価

YUMMY ヤミー(2019年製作の映画)
3.5
野ション、カーアクシデント、動物接触事故……というお約束からはじまり、前半30分は順調。
ゾンビウイルス感染発生後も、自分のお腹食べちゃうゾンビとか腸が引っかかって動けないゾンビとか遊びがあっていいですね。

ただ後半へ進むにつれて、ゾンビ関係ないゴタゴタが増えて展開がちょっと鈍くなるのは残念。とくにワクチンづくり前後。
謎のキモカワモンスターとかお手製爆弾とか、広げた風呂敷の回収もいまいち機能的じゃなくてビミョー。

しかし、無事だった恋人を轢いて事故る救いのないオチはまぁ悪くなく、カレシのぼんくら感あふれる、足の引っ張り展開はどれもいいですね。
また身体的特徴に苦悩する主人公や、彼女を襲うセクハラや暴行未遂などはテーマとして伸長で、おちんちんが焦げ落ちたり、抜いた肋骨を武器にしたり、冗談めかしながらも男性性を戒めるエッセンスが散りばめられてます。ブラックユーモアがなかなかシャープな、完成度の高いゾンビコメディです。

ところで臓物とか骨とか肉の質感はナイスだけど、言うほど「ヤミー」じゃなくない?
でも最初のバンドデシネっぽいアニメーションのオープニングとか、医者の名台詞ミックスのエンディングとかはかなり好きです。
あと劇中とび交うわけわかんない東欧語、マジでわけわかんない造語らしいですね。