アキラナウェイ

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.0
邦題、こんなんで委員会。

何でこんなセンスの欠片もなく、ダラダラと長い副題を付けるのか。意味不明。

監督・脚本は「最強のふたり」で知られるエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュ。まさに最強の2人。

実話を基に、自閉症の子供達の為に奮闘する2人の男達の姿を描く。

自閉症の子供達をケアする団体〈正義の声〉を運営しているブリュノ(ヴァンサン・カッセル)の毎日は大忙し。ドロップアウトした若者達を社会復帰させる団体〈寄港〉を運営するマリクも彼に協力していたが、無認可の上に赤字経営のブリュノの施設は閉鎖の危機が迫っていた—— 。

まるで、ドキュメンタリーを観ているかのよう。

それもその筈。
本作のキャストの一部は、本物の介護者と自閉症の若者達なのだ。

かつて「ドーベルマン」で、トガッた演技を見せてくれたヴァンサン・カッセルの、優しさに溢れた演技が魅力的。

地下鉄に乗ったら電車の非常ベルを押したいという衝動を抑えられない青年。ヘッドギアをつけていなければ、頭突き等自傷行為を繰り返してしまう少年。

問題だらけの彼らだけど、介護者との交流を通じ、確実にその心を開き、解いていく。

政府から派遣された調査員が、ブリュノに問題点を列挙し詰め寄る…。が、彼が返した言葉に深く考えさせられてしまう。

だったら、引き取ってくれるのか?
あの子もこの子も。

どの親も、どの施設も、どの病院もお手上げになって預けてきた彼らを政府が全て引き取ってくれるのか、と。

最後の最後で彼が部屋に戻り、ソファに腰掛ける姿が映される。どれだけ、自分の時間を犠牲にしてきたのだろう。

BGMとして、ピアノの旋律が美しく響いていたのが印象的。

彼は地下鉄に乗って目的の駅で降りる事が出来た。彼はヘッドギアを外す事が出来た。小さな喜びを皆んなで分かち合っていた。

認可が何だ。
資格が何だ。
どちらも大切だけど、
もっと大切なのは、
寄り添う心と見捨てない信念だ。

ほっこり心温まる。
おススメです。