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スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話のmitoのレビュー・感想・評価

3.8
2020年98本目。
フランスでの実際の出来事に着想を得た作品。
無認可ながら自閉症のケア施設を営む男ブリュノと施設を取り巻く人達を描く。

兎に角、てんてこ舞いでプライベートすら無いような生活を送るブリュノ。
あの「最強のふたり」のスタッフ再集結を宣伝文句にしてはいるし、前半こそ、ライトなノリもあったりするが、描いている内容は決して面白半分で観れる代物ではない。

人の言う事を聞けないのは当然、自傷や暴力を振るい、プロの看護師ですら手に負えない人々を一体誰が世話するのか…そして、その問題を見て見ぬ振りをする政治への問題提起を行う。

無認可故に役所に目を付けられ、視察に来れば疑念は深まるばかり。最後には無慈悲な指摘をブリュノに突き付ける。
そのシーンを観て、観客の誰もが感じるのは「この施設に問題があるのなら、自分達が認可出来る施設を設立しろよ」という至極当然な感情。
そしてブリュノも劇中で同じように、声を上げる。

その流れからのラストの字幕。
結局、フランス政府がそう決定せざる得ない状況が、このテーマの抱える重さを語っている。

最強のふたりとはまた違う、実話ベース故に色々と考えさせられる内容の良作。
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