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ブックセラーズのpepoのレビュー・感想・評価

ブックセラーズ(2019年製作の映画)
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世界最大のニューヨークブックフェアの様子から始まって、ディーラーやコレクター、書店や仕事の現場等々が次々に紹介されていく。

古書店を題材にした映画なんかもめくるめく勢いで紹介されて、待って今のメモりたい、っていう箇所が沢山あった。
ラリー・マクマートリー氏(この3月末に亡くなられてたんですね...ご冥福をお祈りします)が『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー脚色賞を受賞した時の、本を賞賛するスピーチの映像も。

軽快なジャズに乗せてスクリーンに出てくるのは魅力的な人々と魅力的な場所ばかり、そして古書店や蒐集家の家には猫が多い(かわいい)。

オルコットの著作の全貌を明らかにしたロステンバーグとスターンの女性二人組の逸話は小気味いいけど、白人男性絶対中心な業界でさぞや苦労も多かっただろうということも察せられる。古書業界の男女比は今でも85:15 だそう。

焚書で有名なのはヒトラーと毛沢東だけど、毛沢東が司書だったというのは初めて知った。

人の皮で製本した本がある、と紹介されたとき「無限の書(Gウィローウィルソン)」で読んだやつー!と思ってテンション上がった(表紙に骨と歯で作った装飾付き。触りたくはないw)。

盛りだくさんで楽しかったです。
店主のひとりの「本は魂の蓄電機だ。本を所有するとき人は物ではなく物語を所有する」という言葉が印象的だった。

「20年前のフロッピーは開かれないけど500年前の本は開けるし読める」(←数字うろ覚えスミマセン)という台詞が出てくる一方、「本は文化の中心ではなくなる」として業界の行く先を憂う声も紹介される。
いずれにしても観終わった後で必ず本を手に取りたくなるのは間違いのないところ。「物語」がそう易々とその理想的な棲家を手放すとは私には思えないな...
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