化粧品の万引きを発見したスーパーの店主は、逃走した女子中学生を追った。
しかし、女子中学生は凄惨な事故に巻き込まれ死亡してしまう。
事故に対峙した女子中学生の父親の怒りはやがて狂気へと変わっていく。
子を持つ親として、父の心情は痛い程わかるし、怒りのはけ口を探してしまうことも仕方がないかなとも思う。
ただ、この父親のまずいところは、元々の性質として自分の考えを押しつけてしまい他者理解に努めていないところだと思う。
その性質に事故に対する怒りが加わることでそれが狂気へと変わっていったのだ。
ただ、あることをきっかけとして父親は父親として、人として自分が「空白」であったことに気がつく。
それを埋めるために、父親が頑張るところとか号泣必至。
あとは古田新太さん、松坂桃李さんはもちろん、脇を固める俳優の演技の実在感がすごすぎる。
中でも一番ウザかった（褒めてます）のが、寺島しのぶさん。
如何なる場面でも「善意」が求められている訳ではなく、中々に世の中はグレーな部分が多いってことを理解していないと、「善意」の押しつけになってしまう。それは他者を理解できていないことと同じになってしまうので、「善意」って難しいなと思った。
それを演技で伝えられる寺島さんはヤバい。見ていて超痛々しかった。
学校の描写もキツかったなあ。
学校関係者は見ていて全員エグられるんじゃないかな。
生徒に対する声かけ。事故に向き合おうとする真面目な教員に対する他の教員の態度。
「責任」とは何なのか、考えてしまいます。
凄惨で暗い映画だし、心情が全て台詞で語られるタイプの映画ではないのでわかり辛い部分もある映画だけど、最後に少しだけ前を向き、自分にとっての「空白」と向き合おうと思えるような、そんな映画です。
去年の映画だけど、今年見た中で今のとこ一位。
