千里

青くて痛くて脆いの千里のネタバレレビュー・内容・結末

青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

トレイラーと杉咲花ちゃん出演に惹かれて観賞。うわぁ...これはまた...自分自身にも同じような経験がある陰キャな人にはグサっとくるであろう、正に(私にとっては過去の)自分を観ているような映画だった。

まずトレイラーを観ていて先入観があったので、杉咲花ちゃん演じる秋好に関しては良い意味で騙されたー!!って感じの展開だったのは嬉しい驚きだった。更にその上で、吉沢亮さん演じる田端に過去の自分が重なってしまうのが凄いというか、恥ずかしいというか。

それが恋愛感情であれ友情であれ、人間関係においてその時期自分と仲良かった人が自分よりも他の人と居ることを優先するようになった時に、切り捨てられた、とか、裏切られてしまった、というように感じてしまうことって実際あったので凄く共感出来てしまう...。でも本作ではその時に"本当にこれでいいの?"と聞かれて本心を答えるチャンスがあったのにも関わらず、そこで自分の本心を言わないのは田端のよろしくないところ。と今でこそ思えるようになったけど、実際田端と同じような立場だったこともある身としては仮に自分があそこで"これでいいのか?"と聞かれても"本心を言えない気持ち"も分かってしまったり。

人間関係って一方に任せっきりになると"この人なら自分の気持ちを何でも分かってくれる"が当たり前になってしまって、ちょっとでも相手が自分より他人を優先するようになると裏切られたような気持ちに勝手になってしまってよろしくない関係になってしまうので、ちゃんと自分の意志も主張しながら良いバランスの関係を築いていくことが大事だなって。

過去の自分は幸い田端みたいにやらかしはしなかったけど、その当時仲良かった人が自分より他人といる事を優先したことには妬みや怒りや悲しみはあったし、その周辺の人には複雑な感情を持ってしまったりも...笑 今でこそ黒歴史と思えるけれども、故に本作は見事に刺さる内容の映画だった。

大胆な理想を掲げつつも現実的にその理想を体現しようとする秋好と、そんな理想は難しいと現実的に考えながらも"秋好は何も言わなくても自分を分かってくれる"と思い込んでる理想主義者の田端という構図も見事だったと思う。

ここまで度直球にグサッとくる人間関係での心理の動き方がテーマの作品ってあんまりないかも...。ちゃんと自分の気持ちも主張しながら頑張って生きていかなきゃね。

"人は皆誰かを間に合わせに使っている"って真理だなーって。
千里

千里