「過去」の心の傷が、今もうずく。
「あれから18年経った」
思春期と現在が並走して描かれる。
サスペンスタッチに、「過去」を匂わせる。
ファスナーが閉じるように、少しずつ現在と過去がつながりだす。
18年前、その時から時が止まる。
自分を失い、道を失い、人生に迷う。
幸せになる価値がないように。
自らを罰するように。
「存在しない何かを求めていた」
「面影」につきまとう。
すがりつくように。
贖罪のように。
フランス映画らしい、分かりやすい「答え」を示さない。
ただ抒情的に淡々と描く。
空白が生まれ、心に余韻が残る。
水面に波紋が幾重にも広がり続けるように。