Finn

Swallow/スワロウのFinnのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.8
御曹司と結婚し玉の輿に乗ったものの、新婚生活に不満を抱えていたハンター。妊娠が分かってからのある日、突然"ビー玉"を飲み込んでしまう…。

赤と青の色彩が目を惹くポスターにずっと気になっていたけど、嘔吐恐怖症ゆえに観るのを躊躇っていた作品。時々しんどかったけど、観て良かった。
"異食症"という病気が衝撃的だけど、そうなってしまった背景とかハンターの過去や心情が徐々に分かっていく展開で、のめり込んで観ました。

ハンター役のヘイリー・ベネットが可愛かったし、お芝居がすごかった!複雑な感情が表情に表れてて見入っちゃった。

ポップな音楽とともにいろんなものを食べていく描写が歪でシュール。前半は飲み込む描写が中心だったけど、後半からあのエンドロールは"出すこと"に焦点が当たってて、本当に伝えたかったのはそこだったのかなと思った。

夫とその両親から格下に扱われているにも関わらず、彼らを喜ばすことばかり考えてしまうのも、ただ異物を飲み込むだけじゃなく、あえて鋭利な物を飲み込んで身体を傷つけてしまうのも、全ては自分の出自に対する引け目や"恥"が原因だったんだなって、後半の父親とのやり取りを観て感じた。

レイプ事件によって生まれてきた自分。クリスチャンゆえに中絶しなかった母親。お母さんとの関係も微妙な感じだったのかも。
父親と話したことで気持ちに整理をつけ、中絶を選んだハンター。個人的にはこれで異食症も治るんじゃないかなと思ったけど、とにかく前を向いて進んでほしいな…。

最近アメリカで中絶が認められなくなる地域が増えるって騒ぎになってて、現にレイプされた若い子が自分の住む州では中絶手術ができないっていうニュースを見てるから…この作品がそういう事を意図したかは分からないけど、なんだかすごく考えさせられた。
被害に遭った女性も、その結果生まれてきた子供も苦しむのに、中絶を認めない宗教って何だろう(脱線)

観る人によって感じ方は変わるだろうけど、いろんなことを考えさせられる深い作品でした。
話題になってたの納得!
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