【最恐少女、爆誕】
チープな特撮にベタなSF、全体に散りばめられたシュールで下品なブラックユーモア、愛着しか湧かないキャラクター達や造形のセンス、懐かしさ漂うグロゴアなスプラッター。
そのB級愛がふんだんに詰まった作風を違和感なく世界観に落とし込み、ある1人の少女を主軸に描いた狂気的な作品だ。
監督:スティーブン・コスタンスキ
脚本:スティーブン・コスタンスキ
あらすじ
庭で遊んでいた8歳のミミ(ニタ=ジョゼ・ハンナ)と10歳の兄ルーク(オーウェン・マイヤー)は、太古から地底に埋められていた“最強最悪の残虐宇宙人”を蘇らせてしまう。ハイ、以上であります!
スター・ウォーズと同じ出だしでスタート!王道!王道!
物語は少女が「とあるモノ」を入手し、残虐な宇宙人を意のままに操る事から動き出す。
そう、この作品は酷使される宇宙人と振り回される者達の
“悲運と悲哀と悲劇、そして感動の物語“
「異星から来た悪夢の大公」
異名や通称ばかりで名前はまだ無い。いや、無かった。だが、強制的に名付けられる悲しみが彼を襲う。
そうだね、サイコ・ゴアマンだね。
略してPG。
PwwwGwwwガンバwww
この映画は下品で楽しくて最高に面白い。もう大好きだ。
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」等のジェームズ・ガンのシュールな作風と俗に言うトロマ魂が好きな人は殊更ハマる、どころかそれを超える可能性すらある。
逆に、その作風が苦手な人にはまず合わない。「そっち」に振り切っているからだ。
そして、その作風と個性しかない常軌を逸したキャラクター群の中で突出しているのは
「たった1人の少女」
暴君かつ傍若無人なミミ役を演じた、ニタ=ジョゼ・ハンナの素晴らしさたるや。一周回って感動すら覚える。
もしかしたら本当に素なのかも知れない。“演技上の指示はしていない“と監督が語っているが、本当なら怖すぎる。
私クラスだったら秒で下僕になる自信がある。そして、この子の思考はただ一つ。
“自分(絶対神)と、それ以外“だ。
しかも、愛らしさや愛嬌も満載で悔しいが全く憎めない。
子供が持つ希望の光を体現化したのが「ブータン 山の教室」のペムザムだとしたら、今作のニタ=ジョゼ・ハンナは180度反転しダッシュで駆け抜ける。
「悪行と蛮行」
私が兄だったら、涙で幾度枕を濡らすのだろう。悲しい事に父親も静かに狂っている。
私がゴアマンだったら、どれほどの殺意を覚えるのだろう。せめて、せめて話だけでも聞いて欲しい。
手に汗握りながら兄やサイコ・ゴアマンに感情移入してしまう。
そう、最早彼らは私だ
ああ、頑張れゴアマン!ああ、駄目だ兄!ああ、どうしたお前達っ!
面白くなる要素をギュウギュウパンパンに押し込んでも全部あの子の装飾にしかならない圧倒的な独裁者パワー。
8才の少女は劇中でこう語る。
「最も危険な存在はこの私よ。私の時代が来た。」と。
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