Shin

れいこいるかのShinのレビュー・感想・評価

れいこいるか(2019年製作の映画)
4.6
鑑賞後もしばらくレビューを書くことができなかった本作。

監督が阪神、淡路大震災に真摯に向き合い、身近な人を突然無くした経験を持つ人々にそっと語りかける作品。

ストーリーはある夫婦が震災で一人娘を亡くしたことを機に、離婚して違う道を歩きつつも、同じ苦しみを抱えながらも懸命に生きていく姿を描く。

主人公のひとりである伊智子を演じる武田暁は映画初主演ということらしいが、本当に素晴らしかった。

特に水族園で亡き娘をあるカップルの女性(娘と同じ名前)に重ねて、"れいこ"と叫ぶシーンには感動してしまった。娘が生きていれば、これくらいの歳になり、普通に恋愛もしていただろうに・・・

ただ途中、伊智子が患った病気が何の前触れも無く、急に治ってしまったことには戸惑ってしまった。上映後の監督のリモートでのトークイベントでわかったのだが。深い意味は無く、突然病気になることがあるのなら、突然治ることもあるんじゃないかということらしい。これはちょっと唐突すぎる。

また市井の人々の描き方もうまい。震災の影響で、経済的にも苦しい生活の中でも、明るさを失うことはない。上下オレンジのジャージを着て、ウルトラマンセブンごっこをする、小太りで坊主でメガネのおっさんときたら、とても演技をしているようには見えず。あの役者は何なんだ。(笑)

阪神、淡路大震災から25年。決して風化させてはいけないし、今も苦しんでいる人たちがいることを忘れてはいけない。そして、生きている僕らには何ができるのか。この事実をあらためて伝えてくれる。


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