MasaichiYaguchi

ゲキ×シネ「けむりの軍団」のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.3
秋に予定していた「神州無頼街」公演は中止になってしまったが、昨年の旗揚げ39周年の「39サンキュー興行」夏秋公演が映画館のスクリーンに「ゲキ×シネ」となって登場。
昨年の公演が出演者の汗や息遣いまで伝わってくる程にどアップに、舞台セットや小道具に至るまでクリアーに映し出されて、劇場の前方ブロックの醍醐味が味わえる。
そして「ゲキ×シネ」ということで映画らしい演出も施されて、劇場での鑑賞とは一味違うところも打ち出している。
主演は劇団☆新感線の看板役者の古田新太さん、この古田さんに絡むのが劇団☆新感覚の常連の池田成志さん、同様にこの2人を高田聖子さん、栗根まことさんという同じく常連が盛り立てていく。
そして本作のキーパーソンである紗々姫を清野菜名さんが、そのお付きの家臣・雨森源七を須賀健太さんが演じて、舞台に華やかさや若さを弾けさせている。
この作品は或る黒澤明監督作品を彷彿させるような内容と筋立てだが、笑いあり、歌とダンスあり、そして敵味方入り乱れてチャンバラありと、いつもの「いのうえ歌舞伎」の魅力一杯だ。
このチャンバラで綺麗な太刀捌きを披露するのが常連と言っていい早乙女太一さん、そこに剣劇の方ではないが、アクション女優としても評価されている清野菜名さんがその身体能力を遺憾無く発揮している。
難しいことを考えることなく、舞台劇のワクワク感、客席との一体感に満ちた本作を観ていると、早くコロナ禍が治まって劇団☆新感線の面々が生の舞台に戻ってくることを祈念したい。