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護られなかった者たちへのsashaiceのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.9
いやー、濃ゆかった、精神消耗した。。しかし決して目をつぶることができない日本の貧困問題の深刻さを知った。震災で全てを失った人々、貧困で今日明日食べていくのもやっとな人々、諸外国に比べて厳しすぎる日本のセーフティネットからあぶり出されてしまった人々の悲痛の叫び、そして誰が悪いと責め立てることも難しいそれぞれの立場での"正義"の食い違いが悲劇を生んでしまう話。
瑛太が開始早々に、、な件はあったけど震災をきっかけに血の繋がりのない3人が本当の家族のように身を寄せ合う姿は災害という不可避で思いのやり場のない悲劇の中でささやかな光を見せてくれてよかった。特に倍賞美津子さんの演技!彼女の優しさに包まれて育ったけれど、2人の凍り切った心は救えなかったのが非常に無念。それだけのことが起きえる不十分な枠組みだということなのでしょう。
かなりの業務負荷、不正受給対応に追われ、また財源も限られる中で「みんなを救えるわけでない」ので彼ら基準での"原理原則"を押し通してしまった役所側の言い分も分かるし、彼らにケイさんの死の全責任を押し付けることもできないが、もっと大きな単位での国、政府の政策に問題があると言わざるを得ない。幹ちゃんが「護られなかった人たちへ、彼ら(生活保護センター)に負けないくらいもっと声をあげて」と言っていたが、本当に誰かが本気で取り組まないと「健康で文化的な必要最低限の生活」さえもままならない、救える命も救えない酷い世の中になってしまいます。。そういう意味では非常に重要なテーマ、メッセージを阿部寛さん×佐藤健さんという迫真の演技で揺さぶられた、彼らという広告塔の下で多くの人々が考えるきっかけになってすごくよかったと思います。
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