ちゅにちゃん

護られなかった者たちへのちゅにちゃんのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.5
東日本大震災で大きな被害を出した宮城県を舞台に、生活再建に向けた被災者の苦悩と自力で再建できず国や行政から切り捨てられる人々の姿を描いた衝撃の問題作。国民は憲法で「文化的で最低限度の生活」が保障されているにもかかわらず、生活保護すら受けられない人々。住民の命を守るべき福祉事務所のケースワーカーが住民を餓死に追いやる現実。親族照会をためらう保護申請者に申請を取り下げるよう行政から圧力をかけられる人々の姿は、助けを求める子供を児童相談所が保護せず亡くなった子供たちやコロナに感染し入院も出来ず自宅に放置される人々の姿とも重なって見える。「欧米の生活保護率が5%であるのに対し、日本は1%と少なく、国連からも是正勧告を受けている」と言う。清原果耶さんの「生活保護が最後のセーフティーネットとして機能していない」と訴えるシーンがいつまでも心に残る。