キャスティングと、タイトルの「護られなかった」という言葉がずっと気になっていた作品
やっと視聴
震災×生活保護というなかなかの重厚なテーマです
世の中から溢れてしまう人たちに焦点を当てる問題提起として非常に重要な作品だと思う
清原伽耶の演技はやはり素晴らしい
佐藤健は「ひとよ」の時のようにこちらも陰気で狂気を秘めたキャラクター
明らかに演者さんとして次のステージに入った感じがします
と、とてもテーマ性と演者さんは素晴らしかったのですが、
個人的には主張しないといけない方向が違うんじゃないかと思いもやもや、、
以下、軽くネタバレ入っています
(観られた方は是非コメントください)
ーーーーー
犯人の最後のメッセージは「声をあげてください」でしたが、
結局それだと声をあげたもん勝ちで護るべき人が護られないんじゃないかと
この問題を踏まえて個人的に一番感じたことは「人間が仕組みの奴隷になっていることの滑稽さ」でした。
本来、生活保護は社会から溢れてしまった人を護るために作られた仕組みのはず
しかしこの映画では仕組みを守るために護るべき人が護れていない
そしてこれは生活保護だけではなく
様々なところで散見しているように思う
「人がより良く生きるために仕組みを作ったにも関わらず、いつの間にか主従関係が逆転して仕組みに人が支配されている」
これこそがフォーカスしないといけない問題であり、
時代の過渡期にも関わらず過去の成功体験から抜け出せない日本が抱える病の一つの本質だと感じる
なので、最後の「声をあげてください」は、なんだか筋違いの気がしてしまった
そうできない人も(むしろそういう人こそ)救える仕組みを作らないと何も解決しない
被害者が無縁仏の墓地を掃除していたというくだりもあったが、
被害者側の葛藤ももっとしっかり描いてフォーカスをそちらに持っていって欲しかった