SayoTam

護られなかった者たちへのSayoTamのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
1.0
ちょっと怒ってます。
観る価値なしと思うので堂々とネタバレします。


テーマは取り上げるべき価値のあるものだと思いますが、ストーリーが杜撰すぎます。
震災と貧困というテーマを、エンタメに仕上げてはダメです。商業映画にはこのメッセージは荷が重すぎます。


人を大切に思う心を持ち、里親にお世話になって、勉強してケースワーカーになり、使命感を持って仕事をしている子が、なぜ今の生活や責任を投げ打って復讐のために人を殺すという選択をするのか?
説明がありません。

そもそもただ殺すだけでも謎なのに、縛り付けて餓死させるだなんて、手口が残忍すぎます。

それに華奢な女の子が180cm以上ある成人男性を人に見つからずどうやって運んだんでしょうか?
スタンガンの描写が出てきますが、スタンガンで人は気絶させられないというのは最早常識ではないですか?気絶させられたとしても運搬方法はどうなっているんでしょうか?



震災と貧困というテーマをいかに悲惨に深刻に悲しく、そして面白く見せるかという目的がまずあって、
血の繋がりがなくても寄り添い支え合う老人と青年と女の子ってなんかエモくね?
老人が貧困を苦に自殺して、その復讐をするのが女の子の方だったら意外で面白くね?
貧困で死んだ人の復讐だから、縛り付けて餓死!センセーショナル!
さらに刑事も震災で家族亡くしてて、避難所
で絡みがあったことにしたら面白くね?

みたいな、なんか、ストーリーを面白くするためだけの安易な発想を無理矢理繋ぎ合わせたような気持ち悪さを感じたのです。


実際に震災後、このような状況に追い込まれた方もいらっしゃったかもしれません。
でも、同じような犯罪を犯した人がいましたか?

いませんよね。

この映画は、被災してから懸命に前を向いて生きている方々への冒涜とも言えると思います。

「震災は怪物」。それは本当かもしれません。
でもそれを殺害動機にするなんて言語道断です。

ストーリーを面白くさせるために人を殺す必要はありませんでした。
ただ描けば良かったんです。
支えたい、救いたい気持ちと、叶わない悔しさ。誰に向けていいのか分からない怒り。
老人と青年と女の子それぞれの心を丁寧に描くだけで良かった。

本当に腹が立ちます。
SayoTam

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