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護られなかった者たちへのtakerattaのネタバレレビュー・内容・結末

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

Rating :
2021年作品

先ずは、震災をテーのフックにした映画です。
当時のトラウマある方には、お勧めしません。

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ストーリーやネタバレは別に任せて。

罹災の記憶や未だ続く現実と、生活保護受給や、不正受給問題にフォーカスが当たっています。

日常生活送っていて、生活保護者に出会うことはないか、あっても、ご本人の生きる尊厳のため、配慮して、明らかにはしない事にしています。

国民の権利として生存権があり
基本的人権に謳われる、
健康で文化的な最低限度の生活。

受給しながら身体を治し、就活して就労に結びつき、勤労と納税の国民の義務を為し得るまで、戻れる僅かな人を見た事はありました。

フクシマの事故の罹災者さまに企業賠償金を給付する仕事をしつつ、週末は現地に瓦礫や泥を掻き出す、ボラ(ボランティア)をしている時に

声無き声に、耳を傾けること、傾聴することの大切さや大変さを、机の上以外で学びました。

自衛隊の皆さまは、先見で活動し、私たちは、手分けして、限られたエリアを助く。

その繰り返しを東京⇄東北と、9年繰り返した。
自分は、感情移入しすぎるのか?

もらい泣きしては、鬱が高まってしまい、
自分が作ったコールセンターを3回退職しても、
頼むから戻ってと4度、再就職して、
鬱を押して、生きる人々をお金と労働力で、現場でボランティアとして、無償奉仕するしかなかった。


さて、映画は、生活保護課から、代議士になる男を描きつつ、
制度で救われ護られなかった者たちの、苦悩や葛藤、時に生活保護を受給出来ても、
己の死の在り方を考えて、保護受給を辞退したために、当然飢えて亡くなる者が出る片方に

受給しながら、就労しても良いのだが、
健康に働けるなら生活保護を卒業するために
収入の返納をしないとならない。

中々ハードルの高い、やり直しが出来る社会になっていないと、いきなり掛けた梯子を外されたら、
人間、急な倒産と同じで、

お先真っ暗になる訳だし、
血縁を辿って、受給を切られる方も居る。

ただ、辞退届を生活保護課が強要したなら、それは、生きる権利を剥奪する、憲法違反の生存権を奪う事になる。

それでも、生活保護費が国民の税金であり、全員を救えない。
国民が、税金だけで歳入をまかない、
ベーシックインカム制に変えられるかは?
法改正や、憲法の遵守まで、遡るようにしないとならない。

人は、法のもとに平等だが、弱者を救済する社会でなければ、平等に成れない。
そこで福祉や医療があるわけだが、
僕たちはどこまで直接、救う事が出来ているだろうか?

医療法人の裏方もした。
脚をわずらい、現地のボラは車椅子では出来なくなり、寄付を始めた。4年前から。

NPO法人も認定になる前だが、障害者や貧困者に、炊き出しをしたり、就労支援の作業場をコロナ前に作った。

との最低時給で4時間から8時間、働いて月給制。
そんな小さな世界でも、社会貢献、社会参加を手助けていく。

命を儚く思い掛けたら、いのちの電話の受話器をとるボラは車椅子でも夜勤で出来るから、
埼玉でも、茨城でも、日帰りでなく、夜勤夜昼逆転で、働き詰めた。

貯めたお金は、寄付に。
時々、映画を観たり、ライブに車椅子で行ければ
我も障害者席で。


クライマックスシーンは、むごくて泣いてしまった。


この救われない、護られなかった人々を救いたい気持ちに、共感してしまう、命を賭けた、それは、でもそれでは犯罪。

人の命って、生活保護(課)って何だろうな?!って考えてしまう。

かたや、受給した金でパチンコしたり、
ホストに貢ぐ輩もおられ、

泣きたくなる、やり直せない社会現実を、時に目の当たりにしてしまう。

私は法の番人ではないし
震災を食い止られる神でもない。

己の非力を情けなく思い、
あの時のばぁばと、おそらく津波にさらわれた、中2の女の子を
海岸線の辿り着く、漂流物を拾いながら
大声で、女の子の名を叫んで、探す朝晩。

あのばぁばも亡くなったと、黒い縁取りの葉書が届きました。

震災被害の、むごたらしさや、亡くなった者の、戻らない事を思えば、人が人を助くことの、意味深さや、命の儚さを、

改めて、護られ、救われた者側として、
社会に奉仕出来ることがまだあるんじゃないか?

ぽつねんと、まだまだ、諦めずに続けなければならない、
お陰様で、日陰で支える、屋台骨をして行こうと、己の立ち位置を再確認出来ました。

最後に、Living Will(生きる意思)、これを助くのは、この映画が訴えたかったテーマなのだと思う。

上映以降、自助、共助、公助の、順番が議論されたり、国の役所から、生活保護は国民の権利ですと、多少大きく広報されるようになりました。

あなたを最期に救うのは、最後死ぬ時に言えるとおり、独りなんだ。
だけど、生きて! 
生きる事が出来ずに、亡くなった方の分も。

とても重い命のテーマでけれど、
最後のセーフティネットと、
ゲートキーパー(門番)を、
私は諦めずに続けていこうと思う、
救われる人が、一人でも増えて欲しいから。

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第44回山路ふみ子映画賞
新人女優賞(清原果耶、『まともじゃないのは君も一緒』等と合わせて)
映画功労賞(倍賞美津子)

第46回報知映画賞 作品賞
第34回日刊スポーツ映画大賞 助演女優賞(清原果耶)
第76回毎日映画コンクール 男優主演賞(佐藤健), 女優助演賞(清原果耶)

第45回日本アカデミー賞
最優秀助演女優賞(清原果耶)
優秀作品賞
優秀監督賞(瀬々敬久)
優秀脚本賞(林民夫、瀬々敬久)
優秀主演男優賞(佐藤健)
優秀助演男優賞(阿部寛)
優秀撮影賞(鍋島淳裕)
優秀照明賞(かげつよし)
優秀音楽賞(村松崇継)
優秀美術賞(松尾文子)
優秀録音賞(高田伸也)
優秀編集賞(早野亮)

第19回Asian Film Festival 最優秀女優賞(清原果耶)


原作:中山七里『護られなかった者たちへ』(NHK出版)
監督:瀬々敬久
脚本:林民夫 / 瀬々敬久
音楽:村松崇継
主題歌:桑田佳祐「月光の聖者達ミスター・ムーンライト」(タイシタレーベル / ビクターエンタテインメント)
製作代表:髙橋敏弘、千葉伸大
エグゼクティブプロデューサー:吉田繁暁、遠藤日登思
企画・プロデュース:筒井竜平、福島大輔

撮影:鍋島淳裕
照明:かげつよし
録音:髙田伸也
編集:早野亮

美術:松尾文子
装飾:大原清孝
VFX:立石勝

スタイリスト:纐纈春樹
衣装:越智雅之
ヘアメイク:那須野詞

記録:江口由紀子
制作担当:木村広志
助監督:海野敦
ラインプロデューサー:阿部智大

配給:松竹
制作プロダクション:松竹撮影所東京スタジオ
企画:アミューズ
製作:映画「護られなかった者たちへ」製作委員会
(松竹、アミューズ、木下グループ、トーハン、イオンエンターテイメント、NHK出版、松竹ブロードキャスティング)

公開 : 日本, 台湾
興行収入 : 8億2,600万円
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