ヤンさん

BAD CGI SHARKS 電脳鮫のヤンさんのレビュー・感想・評価

BAD CGI SHARKS 電脳鮫(2019年製作の映画)
4.6
昨日U-NEXTで配信が始まったこの作品、通常見た順番で行けば公開は明後日くらいになるはずでしたが、余りにもあんまりな衝撃と笑撃にそのような順番は待っていられないとばかりに先に公開することにしました
しかもどうやらTwitter界隈でプチバズっているようで、この波に乗り遅れるわけにはいかねえという思惑も込みです

昨今のサメといえば、当時こそ「無茶苦茶だ」と鼻で嗤われたサメと台風が合体した『サメ台風』ですら遠い過去の出来事といったくらいに多種多様、八百万神も裸足で逃げ出すかのようなバリエーションの広がりを見せています
そしてそのどれにも共通していることがあります、そう「チープなCG」です
恐怖の象徴どころか笑わせにきているのかと見紛うがごとき粗末で粗悪で粗雑なサメの数々にため息をつき途方に暮れ枕を涙で濡らした方々も多いでしょう
しかし予算もなければ人手もない、チープなCGでできたサメしか作れないけれどもサメ映画で楽しませたいという情熱だけしかない場合どうすればいいのか?もうわかりますよね、チープなCGでできたサメが襲ってくる作品にすればいいのです
本当に?頭大丈夫?まあ納得はできないけれども理解はしました、そんな開き直りにも近い思い切りと決断力で、数多のサメ映画を食らい味わい尽くしてきたサメ映画コレクターを狂喜させたかはわかりませんが、唖然とさせた作品がこの『Bad CGI Sharks』です

登場人物は5人+α&サメ、CGのサメを実体化したりストーリーテラーのような狂言回しのような第4の壁を軽々とぶち破りこちらに話しかけてくる魔法使い、サメ映画の制作会社に勤務しているが昇級試験で社長に暴言を吐いて解雇された弟、父に勘当されて弟の住むハリウッドにやってきた頭にちんこを乗せた兄、弟の隣家に住む人の話を聞かないウザいヤツ、弟の勤務先のCGデザイナーの女性、あと社長とか母とか映画冒頭でサメに襲われるカップルとか、いちおう5人は主要人物ですが覚えたり気にする必要はありません、だってこの作品自体が重要なものではありませんから

いちおう主人公は弟と兄ですが、ストーリー的に最も重要なのはCGデザイナーです、なぜなら彼女はサメに襲われた際にこう言われるのです「オレをアップデートしてくれ」
CGとして生まれXYZ軸を身にまとったまま空中を泳ぎまわるサメは何がどうしてどうなったかはわかりませんがインターネットに接続し、世に出回るサメ映画というものの存在を知り、「なぜサメだけが悪者にされるのか」「サメはいてはいけない存在なのか」「悪いのはサメではなくサメを作り出した人間たちではないのか」とまるで『レベルE』でバカ王子が生み出した「魔王」のように思い悩むサメが選んだ生きる道は人類への復讐でした

十把一からげに消費されていくサメ映画の中で、恐らく一瞬たりとも輝くことはないでしょうが、サメ映画への愛に満ち溢れたこの作品は確かにここにありましたし、あふれ出るエネルギーや情熱というものがあるならば、この作品には確かにそれらが詰まっていました
アメリカ版のジモティのようなコミュニティサイトで集まった彼らがサメ映画界に名を残すかどうかはわかりませんが、もし次の作品を作る機会があるならば何をしてでも視聴したいと思います

また、彼らがエンドロールに残したメッセージも素晴らしかったので必見です