ダルマパワー

リンダ リンダ リンダのダルマパワーのネタバレレビュー・内容・結末

リンダ リンダ リンダ(2005年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

本作はカメラの手振れは殆どいれず、色味も明るさもいじらず、カメラで撮った絵をそのまま載せたような感触だった。ドリーは最低限あっても、パンやズームも殆どなかった。余計な印象をカメラから省く狙いだろうか?演出にはやや強引さを感じた。ライブ中に盛り上がるエキストラ観客などは不自然な一体感、統率感を感じた。映画のウォーターボーイズを思い出すと、あれはむしろ潔くて、殆ど観客のエキストラの人達に演出が入っていなかったように思う。だから、裸を見てはにかんだり、本当の文化祭みたいにウォーターボーイズ達の悪のりに初々しく反応を見せていたのかなぁと思う。

本作のキャスティングについては、出演者達が演奏も唄も自分で出来てしまうことに驚いた。ただ、これ香椎由宇さん(ギター)と前田さん(ドラム)は出演決定後に練習したとの事で、すごい。音は実際に本人達のものを使っているのだろうか?編集がすごいのか?素人耳でわからない。

韓国留学生のつくった文化祭の展示室の閑散とした様が、なんとなくわかる気がした。好んでその教室にいく人は少ないのだろう。だからこそ、男の子からの告白よりも、大切な友人とバンドの練習がしたい、一緒にいたいと急ぐソンさんの気持ちがよく伝わってきた。音楽を通して、それまでの壁が取っ払われて、一緒にバカをやって叫べて、異国の地に来て、友達もいなかった中で、こんなに幸せな時間はないだろうなぁ、と思った。

差し出された手を遠慮して拒まない事や、気を遣いすぎない事、本心で話すことって、大事だなーって、勉強になった。外国にいくと萎縮してしまうと思うけど、あんな風に堂々としたいたい。

ただ、あの距離感の詰め方はなかなか学生のうちにしかできない特権のようなものに思えた。

やっぱりでも、そういう点を見ると、本作はとても学生らしくて、韓国人留学生と日本の学生達の、それぞれの姿がよく描かれていた作品だったのかもしれない。

なんとなく作り物感を感じた気がしたけど、カットの間が長いせいか、会話がどうもしっくりこないというか、テンポが悪いというか、そんな気がしたけど

それはそういうカットの小気味良さとか映像の小綺麗さよりも、演者達の描く『学生』を実直に、丁寧に映そうとした監督の意図なのかもしれないなと、こうして書きながら思い改まった。
ダルマパワー

ダルマパワー