KingKazukiManji

TITANE/チタンのKingKazukiManjiのネタバレレビュー・内容・結末

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

試写にてひと足お先に鑑賞させてもらった。

クローネンバーグやリンチ味を感じる作品だった。

特にブルーベルベットに近しかった。

とても強烈な作品だった。

昨年度、ドライブマイカーを抑えてパルムドールを受賞したと聞いて、物凄く見るのが楽しみであったが、個人的にはドライブマイカーの方が面白かった。面白さは圧倒的にドライブマイカーの方が上だが、受賞となると、確かにチタンの方に分があるように思えた。ある種のエンタメ性には欠けるが、強烈なインパクトを持ち、観たの者の固定概念を打ち壊すかのような本作の受賞は納得。チタンのようなかなり観る人を選ぶような映画の認知度が少しでも上がれば、この受賞も実を結ぶだろう。

なので個人的に本作は面白くなかったが、内容がとてもなく興味深かった。物語の面でも奇妙で複雑な話の展開と、官能的かつゴア描写で観客の視線を釘付けにした前半部分はよかった。問題は中盤から後半にかけての物語のつまらなさだ。何か主人公に起こっているという餌で、観客は釣られて映画を見るのだが、主人公に起きてることは関係なしに物語は進むから全く面白くないし、飽きさえ生まれる。ただ本当にジュリア・デュクルノーが伝えたかった本質はここにあるんだろうなと推測。ただそれを言葉にするほどこの作品を理解できなかった。作中ほとんど言葉足らずで、1回だけじゃちょっとわかりにくかったかな。機会があればもう1回みたい。車に異常な執着を持っているっていう設定はほんとによく分からなかった。

1度放たれてしまった衝動は、どうしても抑えることは出来ないし、虚構な関係だとしても、そう信じ込むことで現実に落としいれるってことは意外と人間にとって日常茶飯事だったりする。それを踏まえて、本作の持つ想像以上の奇妙さと奇怪さで、有り得ないようなお話だけども、しっかりと現実を描いてはいたと思う。ただただお話がつまらなかった。

最後に主演のアガトルセルには脱帽。圧倒的存在感でこのつまらない物語を興味がそそられる作品に変えたのは紛れもなく彼女の怪演のおかげだ。びっくりするくらい身体を張ってたし、これはもし女優賞を貰っても驚かない、寧ろ当然だろうと思える。ほんとに。
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