"内在する異物"
主人公の頭にチタンが埋め込まれているということしか事前に知らずに鑑賞。
"想像通り"想像を超える奇っ怪な作品。
インディーズの香り満点の難解な作品だが、ただ奇をてらって観客を置いてけぼりにするのではなく、ちゃんと楽しませようとするエンタメ性も盛り込まれていたので全く不快ではなかった。
血生臭い突発的なバイオレンスとフェティッシュな性の匂いが満ちた序盤が強烈だが、そこから始まるのは意外にもハラハラの成り済ましサスペンスで物語の求心力を維持し続ける。
主人公の身に起こる"ある出来事"は完全にホラーであり、その一方で時折笑わせようとするようなユーモラスな描写が突然差し込まれたりもする。
とにかく要素が盛りだくさんで飽きさせない作りなのが良い。
そして見終わった後にテーマは結局何だったのかと考えるのも面白い作品だ。
「喪失」や「渇き」や「本能」といった言葉たちがまず頭に浮かぶが、その先にあったのは純粋に愛を求める者の物語だったのではないかというのが自分の感想。
奇っ怪なコーティングの中身は、実はこれ以上なく普遍的な愛や自分らしさを尊重すべきというメッセージ。
嘘だと思うだろうが、騙されたと思ってぜひ観て欲しい。
