映画男

ザ・ファイブ・ブラッズの映画男のレビュー・感想・評価

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)
4.8
今作は間違いなくドゥザライトシングに並ぶ、スパイク・リーの最高傑作の一つだと確信する。154分は決して無駄ではない、必須の時間だった。長回しから生まれる狂気、ヒリヒリする登場人物の独白はひたすら胸を打つ。マーヴィンゲイのWhat’s going’ on をアカペラ版で挿入する辺りはさすが。観る側を興奮させつつ、映像が音楽に引っ張られない絶妙な塩梅。音楽の使い方は神がかっていた。

男たちがベトナムのジャングルへ金塊を探しに行く序盤でこっそりと銃を携帯する人物がいること、中盤で地雷処理班が登場した辺りで、胸がざわついて仕方がなかった。だって確実に銃はぶっ放されるし、誰かは地雷で命を落とすだろうと想像できるから。トントン拍子で金塊が見つかり、亡き戦友の遺骨が見つかるのも、その後に起きるであろう事件を余計に想起させるから堪らない。人種問題を根っから扱っているが、すこぶる娯楽性にも富んでいる。

16ミリフィルムの挿入、自在に変化する画角は何も気に障らない、むしろ軽快で心地よさすら覚える。安直な黒味のフェードアウトを使わずにこうして場面転換していくところ、巨匠のなせる技だと思う。編集マンも相当な腕前。いや、もう、問答無用の傑作ですわ。Netflixえげつないな。映画史塗り替えまくりやん。
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