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ザ・ファイブ・ブラッズのMALPASOのレビュー・感想・評価

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)
3.5
『ザ・ファイブ・ブラッズ』

スパイク・リーがメジャー映画会社に次々断られ、Netflixで制作した作品。

原作は白人だったのをスパイク・リーが黒人に置き換えて映画化。戦争と宝探しという同じような題材の映画はたくさんあるシ、この映画もあらすじはよくある話。しかし、そこにいろんなテーマをぶっ込んできたスパイク。

アリ、キング牧師の言葉やアフリカ系アメリカンたちの逸話と写真次々挿入される。その中で、この映画の大事なテーマは、敵国向けのラジオの女性DJの言葉と思われる。そして、マーヴィン・ゲイの♪ホワッツ・ゴーイン・オン。

ベトナム戦争当時、アメリカの黒人が占める人口は11%だったが、ベトナム従軍の32%が黒人という事実。
アジアでベトナム人を殺しておきながら、人権問題を叫ぶ。ベトナム戦争に参加して自由を取り戻そうとした黒人たち。アリはそれに疑問を抱き出兵を拒否した。なんてことをぶっ込んでいるんだけど、映画そのものにはそれは描かれない。エンターテイメントとしては面白いが、変な映画である。

スパイクとタランティーノってすごく似た作品作りをする。二人ともものすごい映画マニアってことが大きく影響するんだけど、これは観る側にとっても大きい要素。過去の映画をリミックスして作った作品なので、とにかくたくさん映画を観たり、音楽を聴いたりしているほうがより楽しめる。知識の薄いライターや評論家では語れないのが、彼らの映画。だから面白いと思わない人も多い。映画を観ながらいちいち引っかかりながら観るといろいろ気づく。

例えば、主人公たちの名前がオーティスとかで気になって調べたら、テンプテーションズのメンバーの名前だった人の名前。オーティス、エディ、メルヴィン、、デビッド、ポール。テンプテーションズは一曲も流れないけど。「シャフト」の歌詞がセリフになってたり音楽ネタも調べたらまだまだ出てきそう。 「ブラックパンサー」のブラックパンサー党パロディは、チャドウィック・ボーズマンのブラパン・パロディになっていた。チャドに毎回やってほしい。
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