セガール幹事長代理

デジタル・スーパースター列伝 闇の世界の超人たちのセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

2.5
ビトンのセカバンに7、8台の通信機器をぶちこみ秋葉原を闊歩する電話マニア通称MR.PBX(ジャケのグラサン)。
狭いワンルームをAmazonの箱とハードディスクと空き缶でさらに狭くさせた違法ダウンロード界の仙人。
2つの伝説から学ぶ人生のお説法。

『真のジャーナリズムは独断、偏見、先入観から生まれるもの。危険地帯でバズーカ砲みたいなカメラ担いで中立を叫ぶなんて愚の骨頂』っていう某作家の言葉があるんですけど、本作はその精神を尊ぶ世界一規模の小さいドキュメンタリー映画です。

場末のスナックのカウンターで一人で飲んでるところ、横から浮浪者みたいな知らないおっさんから仕事は何してるだの、なになに政権はどうだの、俺は倍賞千恵子とヤったことあるだのといった、妙な絡まれ方したことが人生に一度はあると思います。
そんなテンションがずっと続く映画です。

9割方何言ってるか分からないんですが、MR.PBXが公衆電話を分解して自前の受話器と繋いでタダで友達と電話してたとか、アメリカとイギリスを経由してイタ電する方法とかスケールが大きいのか小さいのかよくわからない話はなかなか興味深く、このタイプの人に飲み屋で絡まれたら結構ラッキーだな、とすら思えました。
黒霧のキープボトル勝手に飲まれても全然許せます。
Skypeでいいじゃないですか、とか突っ込まれてちょっとムッとしててジャンハム的可愛さすらありました。

違法ダウンロードのおっさんの方は『意味のないものに金をかけろ』とかそれっぽいこと言うんですが、細いおっさんが汚いワンルームでチューハイ飲みながら延々とパソコンいじってるだけで絵面がめっちゃ地味。これは監督の力量不足です。
最先端なことしてんのに時代に取り残された錯覚に陥ります。
このパート観るぐらいならサイゼでデカンタワイン飲みながらメニューんとこにある間違い探しやってた方が遥かに有意義な時間を過ごせます。


本作を紹介して下さったフォロワーのnaco様がきったない部屋で一人でこれ観てる画が脳裏を過り、悩みとかあったら相談してほしいと伝えたくなりました。