セガール幹事長代理

BUG/バグのセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

BUG/バグ(2007年製作の映画)
4.0
出所したDV男にボロボロにされた女性が、友達に紹介された別の男といい関係になるんだけど、そいつはそいつで体内に寄生虫を飼ってるやばいやつだった話。

日常生活で一生ムシの話をしてる新彼氏に洗脳されてだんだん女サイドもムシを認識し出すっていうのが物語の大きな軸になるんだけど、この2人の見えている世界とその他一般人(少ないが)のそれとの差がどんどん開いていく様を役者の演技力のみで、完全に力技で持っていくのはまさに天晴。本当に面白かったです。
しかし私は夕飯のおかずに大きめのカマドウマが空から降ってくる田舎の家で育ったから楽しく観れたが(着地点が汁物だと食べるのに躊躇する)G一匹如きで絶叫する生娘みたいな人種には少々きついかもしれない。

果たしてムシは実際にいるのか、はたまた薬物やストレスによる幻覚か、ということより、地球で自分だけしか抱えていないと錯覚していた悩みを共有できる人間と出会い、結ばれ、摩訶不思議な世界観を手をつないで進み続ける画は見ていて羨ましくなるほど。
これはもはや手の込んだ長い長いイメージプレイ。「ムシ」という共通の敵を持つことで、身を捻りもがき苦しみながらも酒と薬に溺れていた時より間違いなく生き生きし出したし、特異なステージでしか生まれ得ないお互いがお互いを求め合う深い愛が伝わってきました。
私が学生時代、「あたし結構なんでも対応できるよ」と言ってくれたので新境地を開拓すべく“こういう設定の世界観でどうでしょう”っていう1万5千字ぐらい(卒論が5万字)の原稿をタリーズで見せてから連絡が途絶えた梢ちゃんっていう子がいたんですが、あれは関係を育む時間が足りなかっただけなのかと今になって思えるようになりました。自分を責めることを辞めることができました。もう怒ってないのでこれ見たらあの時のココア代返してください。

ピザのトッピングは多ければ多いほどいい人におすすめ。