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健康でさえあればのあのレビュー・感想・評価

健康でさえあれば(1966年製作の映画)
4.5
体を張って笑わせてくれるのがタチならば、様々なギミックを駆使して笑わせてくれるのがエテックスということでしょうか。

振動で譜面上の音符が落ちてきたりと、メタ的な演出も、絵の中のワインを飲んだりしていた「ヨーヨー」と同じく意外性に満ちていて面白かったですが、不眠のパートは現代ならばスマホに置き換えて考えられますし、映画館の席取りは、日頃の映画館や電車内を思い出しますし、ピクニックのパートは面倒な土地の境界問題のことを考えさせられますし、とにかく現代社会のストレス要素をしっかりと映画らしく視覚的にコミカルに一歩引いて笑えるところがエテックス最大の魅力だと思います。

しかもセリフはあれど、ほとんどサイレント映画としても通用するくらい目で見て楽しめる万国共通の面白さは、キートンやタチにも劣らずといった具合で、こういう監督が権利関係の問題で埋もれさせていた業界の罪深さと、しっかりとリマスターして公開される現在の恵まれた環境を同時に感じました。
あ