健一

パラサイト 半地下の家族 (モノクロVer.)の健一のレビュー・感想・評価

3.4
緊急事態宣言解除後の6月。永い休館期間からようやく解放された映画館。
しかし上映できる新作も少ない為 シネコンのスクリーンが埋まらない。
そこで1月に公開された韓国映画「パラサイト」をモノクロ版として劇場公開。
今回その作品をWOWOWにて初放送されるので録画し ようやく鑑賞。

モノクロ版とは言え作品自体は今年1月に鑑賞済なので衝撃は当然 半減。今回は復習のような感じで観た。

改めて観ると やはり小道具の使い方が 上手いですね!
ケータイ、ピザの空箱、石の置物、ハンマー投げの球、桃🍑、ピザ用チリソース、モールス信号 などなど。挙げだしたらキリがないほど。
これらの小道具を巧みに物語に組み合わせ精密に作り上げているこのうまさ!
ポン・ジュノ監督の天才ぶりに改めて脱帽した。

私はクラシック映画が好きです。
どちらかといえばカラーよりモノクロ(クラシック)作品のほうが好きです。
しかし、今回の鑑賞で感じたことは この作品はやっぱりカラーのほうがいいのではないかな?

本作で一番と言っていいほどのキーワードは『匂い』です。
当然ながら映画が匂うことはないです。
『匂い』を演出するのは恐らく一番難しいのではないか?
人が何十年も使っていない地下の匂いって 嗅いだことあります?
私はあります。もうなんとも表現出来ない匂いです!

ポン・ジュノ監督は撮影中 実際に現場に半地下独特の匂いまで再現して撮影に挑んだとか。
その監督の熱意に対して我々 観客達も匂わない『匂い』を感じなければならない。
そんな時、私はモノクロ版よりカラー版のほうが なんとなく匂いを感じやすいと思った。
今回のバージョンで『匂い』を感じるのは ちと難しい。

あと、
当然タイトルにあるように作品の舞台は『地下』もしくは『半地下』。
ただでさえ暗い場所なのに さらにモノクロにしてしまうと 真っ暗すぎて よく見えないシーンも多々あった。
家政婦に扮したお母ちゃんが元家政婦を足で蹴落とすシーンなんて真っ暗すぎて ほぼ見えなかった。

監督はこのバージョン(モノクロ)が大好きで どうしても劇場公開したかったらしい。
劇場で見れなくて ゴメンね!

冷静に考えたら 本作はまだ今年公開された作品なんですよね!
(先行公開は別として)
アカデミー賞も獲って社会現象になる程 話題になったのに この後訪れたコロナの影響で完全にかき消されてしまったみたいで。
流行語大賞で『パラサイト』とか『半地下』とかノミネートされると思っていたのに。
健一

健一