のんchan

夜よ、こんにちはののんchanのレビュー・感想・評価

夜よ、こんにちは(2003年製作の映画)
3.9
マルコ・ベロッキオ監督は2本目の鑑賞。
タイトル、ジャケ写、そして知り得るベロッキオ監督からして、勝手に少し妖艶な大人の夜🌉のドラマなのかと思いきや...

1978年、実際に起きたイタリア首相の誘拐暗殺事件を基にして、実行犯の女性目線で描いた社会派ドラマでした。


『赤い旅団』という極左武装集団の一員で、公務員である23歳のキアラは、団員らと借りたマンションで普通の暮らしをしている風に装って、実は元首相のアルド・モロを誘拐し狭い部屋に監禁し、交代で見張って暮らしていた。

世の中の情報を常に敏感に団員と共有しているが、男の中で女は1人。若き魂がゆえ、柔らかな感性なだけに思い込むと前のめりだが、見えてくる現実に気付き、仲間の行動に違和感を持つようになっていく。
絶対的な思想と信じていたが、モロ氏を監視しているうちに、その高潔で慈愛に満ちた言動や表情に、自分の根底にある何かが揺らいで、モロ氏の書いた手紙に自然に涙が溢れたりする。

思想と現実が交錯する時⚡️自分たちが信奉するイデオロギーの空虚さに気付いているにも関わらず、殺害という悲劇を止めることが出来ない⚡️

音楽効果は時代を反映し、ピンクフロイドの「Shine on Creizy Diamond」「The Great Gie in the Sky」が圧巻🎵
そしてラスト近くの幻想ともいえるシーンにはシューベルトの「楽興の時」が美しい余韻を残す🎶
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