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ヤクザと家族 The Familyのseiのネタバレレビュー・内容・結末

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

事前情報無しにドンパチを期待して綾野剛がヤクザを演じるからってだけで観に行ったら、一人の男の成れの果てが描かれた作品で最後不覚にも泣けちゃいました。警察とヤクザが持ちつ持たれつの関係性だとか、半グレが勢力を増してヤクザが窮地に立たされるとか、時代と共に裏社会の勢力図も変わりゆく様が描かれてて興味深かった。組の車が、黒塗りのセダンから14年後にプリウスに変わってたのがリアルだった笑

綾野剛と舘ひろしが演じてるからカッコよく思えてくるのが危険だけど、ヤクザなんて悪いことしかしてないんだから社会から排除されて当然。ただそうはいってもヤクザだって一人の人間で、それぞれの生い立ちや境遇によりヤクザにならざるを得なかった背景とか、ヤクザ社会の義理と人情で築き上げた人間関係を考えると少し不条理な感じもした。山本の生い立ちと、組長と盃を交わしてからより信頼関係を深めるまでをもう少し深く描いて欲しかった感じもあるけど、綾野剛の演技だけで十分山本という人間に感情移入出来た。特に14年の刑期を終えて出所した山本が、久々に再会した人々や組の変化に心が追いつけていないところや、社会のヤクザへの風当たりの強さを受けて路頭に迷う山本の表情は観てる方も心苦しさを覚えるほど凄かった。ヤクザでも好きな女に翻弄されるあたりは人間らしさが出てて可笑しかった。ヤクザを美化してはいけないが、裏社会から身を退いた人間がその世界に二度と戻らずに済むような環境は作るべきだなと思った。

綾野剛、市原隼人、駿河太郎のヴィジュアルが最高でした。
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