このレビューはネタバレを含みます
思ったよりも、散漫で薄味。
任侠映画パートは迫力不足な気がしたし(本作のテーマはそこにはないのだろうけど)、現代のヤクザパートは記号的な要素を"拾う"ことに過度に拘泥しているという印象を受けた。それぞれ別のドキュメンタリーや本で見たエピソードの詰め合わせというか。暴排の過程とその後に色々問題があることは分かっているのだけれど、それらに(ほぼ第三幕だけで)総花的に言及しようとしたせいで、短時間で強引に話を畳まなければならないことになってしまい、物語としての必然性や推進力が削がれてしまっているように思う。
撮影手法など技巧的に優れているというのは素人的にも分かるし、俳優陣も綾野剛をはじめとして総じて素晴らしい。3つの時代を跨いで描くアイデアも良かったのだけど、それならアイリッシュマンぐらいの長尺にするとか、もう少し構成要素を削ぎ落とすとかしないとフィクションとして薄くなってしまうのではないか。
何か惜しい。