ヤクザと家族 The Familyのわとのネタバレレビュー・内容・結末

お話としては父親がシャブ中になって自殺してしまいどことなく社会の悪だとか不条理に腹を立ててる少年綾野剛が、義理と人情を持ったヤクザに救われて、そして堕ちるところまで堕ちる話。
彼の幸せな時間っていうのはほとんどなくて、因果応報というには重すぎる試練が彼の人生には立ち塞がってくる。それを解決する力も環境も彼にはなくてその場しのぎの行動しかできない。だから状況はどんどん悪い方向に転がっていく。
薬が憎くて売人から盗んだブツを海に投げ捨てたら拉致されてリンチされたことも、組を守る為に殺人の罪を被ったのに出所したら組はほぼ解体されてたことも、昔の恋人の元で暮らす為に真面目に働き出したらそれが原因で元ヤクザだったことがバレて帰るべき家を無くした時も彼の行動は全て裏目に出てしまう。
信頼していた相手から「あんたさえいなければ」と繰り返し言われながら死ぬ直前の彼の脳裏には何が写ったのだろうか。
とにかく哀れな男だったが、最後の最後に現実の厳しさ不条理さに打ちひしがれる人間を1人でも減らす為に第二の山本である磯村勇斗の代わりに罪を犯したところはやっぱり彼にはこの道しか残されてないのかという思いとそれでも貫く彼の意思に尊敬の念を覚えた。
綾野剛及び磯村勇斗の快演が映画館で観れてよかった。