福井晴敏の同名小説が原作(読了)
亡国に仇なす防人たち
国家としての在りようを、矜持をも見失った日本に対し【神の楯】が牙を剥くーー
まず、原作小説は大変面白いです。映画は観なくてもいいから、とりあえず原作は強くオススメします。
では映画の何がダメなのか。安っぽいCG?ショボいアクション?
否。それは一言に、ヒューマンドラマの希薄さに尽きる。壮大なプロットに対してストーリーがあまりにも弱いと感じます。
私見ですが、『亡国のイージス』という作品は、テクノスリラーを象ったヒューマンドラマです。
無論原作の内容すべてを映像化するなど不可能ですし、その必要もありませんが、海上自衛官の叛逆という大それたものを描くにあたって、キャラクターの人間像や動機といったものは多少時間をかけてでももっと克明に描写すべきだと思います。主要キャストの演技は良かったのに、とても勿体ないです。
物語で何を描くにせよ、それを動かすのはキャラクターたちです。キャラクターが弱いと視聴者の気持ちは映画から離れてしまいます。
本作のテーマは中々深いものですが、映画を通してそれがどれほど伝わったでしょう。原作未読の人ならすぐ忘れると思います。
中井貴一の不気味な存在感は良かったかな。
2022年102本目