ほしじろ

あのこは貴族のほしじろのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.0
当初、華子、美紀、幸一郎、住む階層の異なる三者が会話する度に齟齬が生まれ自分の常識や境遇との違いに驚く姿を目にする度、同じ国で生まれ同じ街に居るにも関わらず生まれた階層が異なれば世界が完全に断絶してしまう事実を突きつけられるようで、胸が締め付けられました。

しかし交流を重なるうち、結局のところどの階層にいても何か - 日々の生活や周囲の価値観、期待 - に翻弄されながら生きていることに変わりないのだとそれぞれが段々と実感していくようで、特に華子役の門脇麦さんの静かな演技、寡黙な姿の中でそれを物語っているように見えて印象に残りました。

人生を約束された階層内の生き方から一歩外へ踏み出した華子や美紀ですが、彼女たちが何処へ行き着くのかは分からないし一抹の不安も感じないこともないですが、自分の意志で生きていくのだと踏みしめたその一歩の中に大きな希望が感じられる終わり方はすごく素敵だなと思いました。
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