このレビューはネタバレを含みます
断然こっちが本編だったディレクターズ・カット版。マイケル・シーンが劇場版より大きな役目を担ってたこと、ゴッドフリーがどういう経緯でバリアンに辿り着いたか…特に無駄死にみたいだったマイケル・シーンの死の意味が劇場版より明確に大きな意味を持っていました(ああすることでバリアンを解放したかった意味に)。
口実だったエルサレムへ至る旅路の印象も、バリアンの白昼夢のような見方に見えてきて、そう見たら船の難破と彼だけ生存したのも分かる。あの場面は狙っていたのか、現実味が薄いから。
民たちと同じ目線で土を耕し、共に笑う。ある意味これが監督の伝えたかったことなのかも。これから先求められるリーダーシップの姿というのを、力だけを誇示する時代は死に絶える未来だと。
劇場版より遥かに意図がクリアになったと思いますし、映画自体が先ほど述べた白昼夢のようであり、まさにリドリー・スコットらしい幻想的なお話でした。同時に作品が提示する“勝利”も非常に深いです。敵を制圧、滅ぼすだけが勝利ではないのだと…
【ちなみに】
王亡き後は民のために尽くせというゴッドフリーに、自分の意志でそれを決めるバリアンの旅路には、きっとこれから求められるもののヒントがあるのかも…。