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妖怪人間ベラの特売小説のレビュー・感想・評価

妖怪人間ベラ(2020年製作の映画)
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エコエコアザラクの没シナリオかな、という感じの。

独占欲の強い女子高生が嫉妬に狂い凶行に及ぶエピソードの段では原理主義者を怒らせないかこれ大丈夫か、と不安にもなりましたけれども。

観るものの好奇心を煽りつつ当事者にして巻き込み得る強い引きのアバンから直接繋がるエピソードが始まるや否や。

きっとご近所でも評判であろう素敵なお父さんが小学校に上がったかどうかの息子をゴール前に立たせて怒鳴りつけながら容赦のない威力のシュートをバンバン蹴り込むという最高の形で以て。

社会性、人間性のくびきからの解放に伴う快感を、カタルシスを、描いてくれたならばこれはもう。

多少の説明不足も無理筋も積極的に好意的な解釈を加え共犯者を名乗るに吝かではありませんよ。

最終的にベラのキャラクターがぶれている、或いは最初から固まっていなかった印象を受けるけれどもそんなもんは関係ありませんよほいと合いの手を入れますよ。

「フォーリング・ダウン」に連なる系譜の社会派サスペンス。

足すことの。

妄執の果てに取り返しのつかない変質に到る「ザ・フライ」の哀しみ。

果たして。

ジャンル映画が持つ自由度の高さを存分に利用して成立したこれはもう、大傑作。

感想としてはただこの一言、最高。
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