◆あらすじ◆
元イギリス首相のマーガレット・サッチャー(メリル・ストリープ)は政界引退後、夫のデニスを亡くして孤独な晩年を送っていた。彼女は夫の遺品を整理しながら人生を振り返る。そこには苦境の中でも決意を曲げずに突き進んだ彼女の強い意志があった。
◆感想◆
イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャーの人生を描いており、認知症を患いながら現実に向き合おうとする現在のパートと政治家を志して首相となり引退するまでの回想のパートを交互にストーリーは構成されており、伝記映画ながら現在のパートではフィクションを交えて彼女の現状を理解しやすいように描かれていました。
現在のパートにおいて特徴的な表現として、マーガレットにしか見えない夫のデニス(ジム・ブロードベント)の存在が描かれており、マーガレットが何かをすることにデニスが茶目っ気たっぷりで絡んできて、それがなんとも滑稽に感じました。しかし、ストーリーが進んでいくとともにそのデニスとマーガレットの意見が食い違うようになってきて、そこからはかなり切ない感じになっていきました。
政治家のパートはなんと言ってもマーガレットの意思の強さがどの時代でも明確であることを感じました。とにかく行動を起こす人物であり、大衆に迎合することなくやるべき方策を進めるその強さは素晴らしかったと思います。彼女の政治家生活は総じて苦境の連続で、景気が回復したときぐらいしか彼女が称えられることが無かったことを考えると、現在の政治家で彼女の代わりができる人はいないと思います。終盤は党内にきちんとマーガレットに意見できる人物がいなくなって、それが終焉に結び付いたように感じました。
とにかく性別関係なく、政治家として優れた人物であったことは揺ぎ無く、その少しでも垣間見ることができて本当に良かったです。
鑑賞日:2024年9月27日
鑑賞方法:NHK BS
(録画日:2023年11月9日)