交わるはずのない2人の交錯。
“孤独”という共通点を抱えた2人は互いに惹かれ求め合う。
化石の如く人生の止まったメアリーとシャーロット。
歩んだ道程が異なるからこそ求める自由も異なるのか。
心苦しさと窮屈さに押し潰される。
『タイタニック』のケイト・ウィンスレットと『ストーリー・オブ・マイライフ』のシアーシャ・ローナンのW主演。
Fan's Voiceのオンライン試写会にて鑑賞してまいりました。
監督は『ゴッズ・オウン・カントリー』で鮮烈なデビューを飾ったフランシス・リー。私はまだ観れてないのですが、本作で彼の作家性は強く感じました。
冒頭と中盤、クライマックスと、それぞれにセリフで語らずとも映像で魅せる見せ場があって、とても印象的な作品でした。
一見女性同士が互いを求め合うLGBTQのテーマですが、ここ最近の作品に増えてきたそれを感じさせぬ自然な恋愛映画。
冒頭から19世紀のイギリスを舞台に、いきなり男性優位社会であることを映像だけで強く見せつけてきます。
ケイト・ウィンスレット演じるメアリー・アニングは実在した人物で、自分の意思を強く持つ古生物学者。
シアーシャ・ローナン演じるシャーロット・マーチソンは化石収集家の妻で、メアリーとは対照的に明るく奔放な性格。
育ってきた環境がまるで『あのこは貴族』のようにまったく違う2人。
惹かれ合う2人。
2人の絡み合うシーンはあまりにも生々しく鮮明に記憶に刻まれました。
だからこそラストシーンはつらい…だけども解釈はこちらに委ねられています。
前向きにもどうとも取れるクライマックスはとても素晴らしい。
クライマックスのシーンだけでも何度でも噛み締めたいぐらい細かい演出面まですべてが最高でした。
※2021年新作映画34本目
※Fan'sVoiceオンライン試写会にて