散歩

アンモナイトの目覚めの散歩のレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
4.5
ちょっとこの映画、演出が素晴らしすぎましたね。化石の発掘作業をそのまま映画演出に置き換えたかのような作りがもう凄いレベルで、ストーリー的にも映像的にもさり気なく描かれる「秘める」「隠される」や「囲う」「閉じる」などの表現に見入ってしまいました。一人の女性の功績が男性の功績に上書きされる映画の始まりやメアリーとシャーロットの関係から男性社会や女性について描かれているのは、まあそうなんだけど、そこに終始してしまうのはもったいないというか、個人の感情を追っていくうちにもっと大きな解放を観たような気分になりました。特に、やっぱり終盤の展開が圧巻で、メアリーからシャーロットへのあのセリフで「あぁ、この映画、そこなんだ!」ってちょっと鳥肌が立ちました。化石の扱われ方や肖像画の使い方などがメチャクチャ良かったんですが、それに加えてメアリーの視線から感じる感情がまた物語に深みを与えていて、ケイト・ウィンスレットって久しぶりに見たんですけど素晴らしい演技でしたね(もちろんシアーシャ・ローナン も言うまでもなく最高でした)。ラストシーンの大きな余韻が、もうたまらなかった。
地味だし観ようか迷ってたんだけど、ちょっと舐めてましたね。個人的には『キャロル』とも『燃ゆる女の肖像』とも違う新たな傑作で、観て良かった。
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