ひと夏の恋を、人はひと夏で終わらせようとする本能を持っている、と誰かの話で聞いたことがある。深い話は知らないが、それは何故なのだろう。アレクスが彼に抱いていたものは、初めての愛情と、未熟さ故の嫉妬と憎悪。ふたりの夏の終わりがほんの少し彼の方が先に訪れたから。どこにでもありそうな夏の出来事が、死という結果に結びつくことで、"永遠"になる。アレクスが彼と同じ18歳になる夏、どんな男性になっているだろう、なんて思う。
キュアーのIn Between Days が冒頭とラストに流れる。そうか、'85年7月リリースだったらしい。映画の切なさと反するポップな音が、ずっと耳に残るね。
オゾン作品のなかでは、かなり癖が少なく見やすいので皆さま夏の終わりの1本に是非。
補足。個人的にはアレクスを静かに強かに見守る両親がとっても素敵だと、じんわり思う。