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Summer of 85のmのネタバレレビュー・内容・結末

Summer of 85(2020年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

死と友情と友情以上の愛と、そして愛することそのものについての物語。

色んな人のレビュー、考察を見てみても結局納得できなかったので自分なりの考えを。

結局ダヴィドは始めから自分が死ぬことが分かっていたのだと思う。予知とかそういうものではなくて自分の命を終わらせることへの覚悟みたいな。もう死ぬことが分かっていたから刹那的な生き方をした。色んな人と恋に落ちて、恨まれると分かっていても適当にボートなんか返さずにいたり。死を覚悟するようなスピードでバイクを走らせたり。そして櫛に不相応なナイフみたいな効果音。それが鳴るたびダヴィドにナイフでの死が思い浮かんだ。

スピードを超えた先で夢が叶うという話
、アレックスはそんなバカな、とか言ってたけどダヴィドの中ではスピードを超えた先にはそのままの意味で死が待っていて。それが夢が叶うっていう意味だったのかなーとか考える。父の死を経験したダヴィドにとって死が身近であることは簡単に想像できるから。

そして肝心の墓の上で踊る誓い。アレックスはそんなバカなと拒否していたけれどダヴィドは真剣で。自分が死ぬって分かっていたから愛するアレックスに自分のことを忘れてほしくないって縛り付けた誓いだったと思う。あの時ダヴィドはアレックスが思っているより何倍も真剣に愛を伝えたのだと思う。

死をぼんやりと意識していたダヴィドがアレックスに出会ってもうこれ以上の幸せはない、これ以上は満たされないって思って死を覚悟したというのがストーリーラインだと思う。墓の上で踊る誓いは愛するアレックスを永遠に自分のものにしたかったダヴィドの願望、愛。それでいて愛するアレックスをもう飽きたと突き放したのも同じように愛だったのかな。

もしかしたらアレックスを追いかけて死を迎え、アレックスに死ぬほど後悔してもらえたのはダヴィドの本望だったのかも。

ものすごく刹那的で難しくて美しい、愛と死の物語。







でもこれも全部自分の理想の二人を勝手に描いちゃっているのかもなー、アレックスに君の物語じゃないって言われたのに。
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