オンライン試写会にて。
アフガニスタンからデンマークに逃げてきたアミン。
彼は難民となった経緯をぽつりぽつりと語り出す…。
アニメと実写を交えた手法で、アミンの真実の物語がドキュメンタリータッチで語られる。
a-haにチャック・ノリスにアニル・カプール、そしてジャン・クロード・ヴァン・ダム。
ある時期まではアフガニスタンも他の国と同じく海外の文化を受け入れ、ある程度平和に過ごしていたことが分かる。
それが一転、家族は難民となる。
国を逃げ出さなければ命の危険すらあるというのはどんなに恐ろしいか。
今やウクライナからの難民が600万を超えたという。
忘れさられがちだけど、それこそウクライナの前には米軍のアフガン撤退で多くの難民が発生していた。
「難民」と一括りに考えがちだけど、そこには1人1人の人生があり、その家族もいる。
それがこの映画を観ると可視化される。
より感情移入しやすくなる。
彼ら、彼女らは飛行機に乗ってさっと逃げられるワケじゃない。
いつ逮捕されるか、いつ強制送還されるか、いつ殺されるか。
そんな状況で安息の地を求めてる。
そして主人公にはもう1つ、ゲイという家族にすら言えない秘密がある。
それにしても兄貴が粋すぎるやん。
そんなん泣いてしまうよ。
この映画を単純に実写のドキュメンタリー映画にしなかった理由。
それは身バレを防ぐため。
そしてアミンという1人の人間と、その家族をより人間らしく描くため。
アフタートークでも触れられていたけど、「チェチェンへようこそ」は実写ドキュメンタリーだけどディープフェイクを使って顔を変えていた。
それだけ今も難民や亡命した人達の置かれている状況は不安定。
一歩間違えれば命すら狙われかねない。
だからこそ、映画の最初の「故郷とは何か」という問いかけが意味を持つ。
そしてタイトルの「FLEE」の意味を噛み締める。
【余談】
この映画でもロシアという国の酷さが描かれてるし、「チェチェンへようこそ」でもゲイの人々への弾圧や暗殺が描かれてた。
これらを観てると、ウクライナ侵攻における市民の虐殺やレイプ多発はさもありなん。
日本も満州やシベリアではロシア兵士達に残虐な目にあわされてるし、北方領土だけでなく北海道も狙われた事実がある。
これだけのことをしてきた、いや今もしている国なのに、何故かロシアの肩を持つ人が日本にもいる事が信じられない。