【第94回アカデミー賞 国際長編映画賞他全3部門ノミネート】
サンダンス映画祭で受賞、アニー賞や批評家賞を次々と受賞、最終的にアカデミー賞では国際長編映画賞、長編アニメ賞、長編ドキュメンタリー映画賞の3部門でノミネートされた。この3部門に同時ノミネートされたのは史上初である。
アフガニスタン難民としてデンマークで生きてきたアミンは、高校の同級生であるこの映画の監督に自らの人生を語り始める。
めちゃくちゃ重そうだなと敬遠していたが、意外と観やすい一作だった。やはりアニメーションにすることである程度生々しさが軽減されたのはあるだろう。
難民とゲイという二つのコンプレックス、苦しみを抱えて生きるアミンはぬくぬく日本で生きている僕にはとても想像できない苦しみがあるのだろう。彼の父は置いておいて、他は全て国外に脱出できてよかった。
「ゲイを治したい」と訴えるシーンはとても辛かったが、兄に打ち明けてゲイバーに連れて行ったくれたシーンは心が温かくなった。てっきり怒られるかと思っていたけどいい家族でよかったね。
ロシア警察のあくどさは今となっては納得するしかない。正義などあったものではない。
この手法自体はそこまで珍しいものではなく、『戦場でワルツを』『ペルセポリス』なんかもこの手法だよね。その中でこの作品を特異なものにしているのはやはりLGBT要素だろう。LGBT自体がいないことにされているアフガニスタンで育ったアミンの自分への否定的な気持ち、それが苦しく描写されていた。
アニメーションとしてもドキュメンタリーとしても高いレベルにある秀作。