【邦画の良さがつまった邦画】
日陰の土のような湿っぽさとカビ臭さ、その中にほんのり狂気と色気が漂う私の中でのベスト邦画。
■スパイの妻とは
タイトル『スパイの妻』から勝手に想像していた、元々スパイの旦那を密かに支える妻…ではなく。
時は1940年。たまたま満洲で恐ろしい日本の国家機密を知ってしまった旦那を、妻が国に背いてまで、愛でうけとめ、共犯になる道を選ぶという割と色んな所に突っ込みたくなるような狂ったお話。
■キャスティングが最高
キャスティング担当者と握手したい。最高。センス良すぎる。
・高橋一生
笑ってても目が笑ってない彼がやるからこそ「そこはかとない不気味さ」が際立っていてとても良かった。
仕事できてサイコパスぽい所がとても最高。
・蒼井優
上品そうで柔らかな女性っぽい出立なんだけど、芯がとても強い女性を演じさせたら右に出るものはいない…。
最初の旦那のお飾りっぽパートから、後半の共犯になって正常に狂っていく感じが「直線しか見えない妻」を見事に演じてておーーみーーごーとーー!
・東出くん
正直、演技があまりうまくない認識なんだけど、そこをうまく使っているというか…。最初の柔らかなパートから、主人公たちを詰めだすパートのどれが彼の本心かわからなくてドキドキしてしまう。すべて演技だったのか?
■話の流れが飽きない
前半、この時代についての主役夫婦の在り方はとっても日常パート、そこから徐々に狂いだしていき、ラスト最高に狂ってくるのが見ていてドキドキ冷や冷やする。
視聴者が思わず「えっそう来る?」となって身を乗り出してしまいそうになる「見せ所」がたくさんあり、最後の最後まで飽きずに見ることができる、とてもよく練られた映画。